6.バイヤーの信用力をどのようにとらえますか?

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セラーは、日本貿易保険に対して対象バイヤーがどんな格付けであるかどうかを点検することが重要です。
1.Gの公的バイヤー
セラーは、3格付(GS,GA,GE)のバイヤーに対して与信枠を考慮しないで商談をすすめることができます。
2.Eの民間バイヤー
 セラーは、5格付(EE,EA,EM,EF,EC)のバイヤーのうちEE/EAバイヤーに対する設備財包括(技提包括を含む。500億円以下であれば原則OK。)の与信枠を事実上意識しないで商談をすすめることができます。
しかし、EM/EFバイヤーに対する設備財包括(ユーザンス1年以内で最大100億円。)を含めてそれ以外の保険ではEE/EAバイヤーおよびEM/EFバイヤーに対して個別保証枠を意識して商談をすすめなければなりません。
3.Sの信用状発行銀行
セラーは、2格付(SA,SC)のうちSA銀行に対する与信枠を考慮しないで商談をすすめることができます。
なお、SC銀行に対する信用危険が「不てん補扱い」です。
4.Pの信用状発行依頼人等
セラーは、3格付(PN,PU,PT)のバイヤーに対する信用危険が「不てん補扱い」ですが、信用状取引では信用状発行銀行がSA格付けであれば問題がないと言えます。

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セラーは、保険会社に対して対象バイヤーがどんな格付けであるかどうかを点検することが重要です。
(注)セラーは、任意与信可能契約付で包括契約を締結したときは、「支払遅延通知書」の提出時にはじめてバイヤーの明細を明らかにするものがあります。
対象バイヤーの評価は、保険会社が対象バイヤーに対する「最新の財務データ」を入手できるかどうかです。そこでは、@の数による簡易格付表とランク付けがあり、対象バイヤーの所在国がどこであっても共通の尺度になっております。また、スコアとしては、Low Risk(6~10)、Medium High Risk(4と5)またはHigh Risk(0~3)のゾーンがあります。
セラーは、商談の節目毎に、付保バイヤーに対してオンラインのリスクポートフォリオの画面でもって検索し、スコア(10段階評価)や@の数の一覧表示を点検し、最新の状況を把握することができます。

(IDとパスワード対応。)

セラーは、対象バイヤーの現状確認だけではなく、新規バイヤー(将来バイヤーにあたる者のこと。)の開拓ツールとして役立てることができます。すなわち、将来バイヤーに対して検索してみて同スコアがLow Risk(6~10)の場合は積極的に商談を展開したり、Medium High Risk(4と5)の場合は予想の半分程度に抑えたり、High Risk(0~3)の場合は与信取引を断念し、L/C取引を厳守しようとしたり、いろいろのシミュレーションを実行し、商談の展開に備えることができます。
そこでは、将来バイヤーに対する与信方針を決めるときの重要な指標を入手できますから、与信管理の充実につながると言えます。


(1)バイヤーの信用力のとらえ方はどうなりますか?

   ここでは、信用調査の発注者が(A)保険会社か、それともB)セラーかどうかです。
 公的保険では、セラーが信用調査報告書を手配するものです。
 民的保険では、セラーがバイヤーをグルーピングし、保険料の見積もりを依頼するだけです。後は保険会社により信用調査報告書を手配するものです。
 2スキームで関心のあるのは、「財務データ」がなくても補完して貰えるところです。