1.海外取引でどういうことに懸念しておりますか?
セラーは、(1)船積みができなくなったり、(2)貨物代金を回収できなくなったり、(3)港湾ストライキ等による運賃や海上保険料の増加費用、(4)テロ等により建設工事が中断し、貨物の維持・保管費用等や派遣要員の避難費用等という増加費用を負担する懸念等をいだくことがあります。セラーは、これらの懸念等に対して日本貿易保険(全額政府出資の特殊会社のこと。)における貿易保険を利用することがあります。この場合、輸出入取引や海外投資において生ずる取引により被る損失にあたり、国内取引は含まれておりません。
(注)セラーは、海外の拠点で現地法人を設立し、そこで生産・加工・集荷する貨物を現地国や他の国に販売する場合、日本貿易保険を利用することができます。しかし、付保制限や設備(航空機・船舶を含みますが、単体機器を含みません。)や資源・エネルギーという貨物の制約を受けることがあります。その場合、セラーは海外の自社工場から出荷する案件に対して直接日本貿易保険を利用することができませんが、現地の保険会社(日系損保会社の海外店等)のフロンテイングサービス経由日本貿易保険を利用する途が開かれることがあります。
セラーは、(1)船積みができなくなったり、(2)貨物代金を回収できなくなったりする懸念を抱くことがあります。セラーは、これらの懸念に対して保険会社における取引信用保険を利用することができます。この場合、セラーは海外取引だけでなく、国内取引も含めることができます。それは、保険対象国に「ジャパン」を加えるだけで対応できます。
(注) セラーは、海外取引および国内取引において売上高を伸ばそうとし、小ロット多頻度や大ロット少頻度の積出等を実行するに際して一番考慮しなければならないのはバイヤーに対する与信のピークにあたる最高債権残高をどのように見積もるかがあります。その場合、当該最高債権残高が保険会社の審査力を利用した与信管理の充実につながると言えます。
「積出し前危険」とは、契約上の義務の履行を継続できるかどうかの懸念を指し、いわゆる「船積前危険」に当たるものを言います。
「不払い危険」とは、債権が支払われるかどうかの懸念を指し、いわゆる「船積後危険」に当たるものを言います。
<基本定義>
保険:「危険について保障する」という文言から「保」と「険」を結びつけたもの。
危険:リスクと同義であり、損失を生ずる恐れのこと。
(1)どんな損害に備えますか?
ここでは、てん補範囲が(a)船積不能と(b)「回収不能」という損害ですが、対象貨物に対する転売の難易度等により「船積不能」を特約により付加するかどうかです。
公的保険では、「船積不能」+「代金回収不能」の組み合わせのほか、対象貨物のうち転売がし易いかどうかにより、「代金回収不能」だけのものや「船積不能」等をオプションとして含めるものです。
また、民的保険では、「債権回収不能」に対象貨物が転売し難いときは「積出し不能」をオプションとして含めるものです。
2スキームで関心のあるのは、対象貨物が汎用品の場合に「積出し不能」を特約対応にするところです。